
2015年に一部の事業場で従業員のストレスチェックが義務づけられてからもうすぐ10年。制度を検証し、必要に応じて見直すため、厚生労働省で「第5回ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」が開催された。
論点は大きく2つに分けられる。現在努力義務となっている、50人未満の事業場におけるストレスチェックの義務化と、50人以上の職場も含めた集団分析・職場環境改善だ。
50人未満のストレスチェックの義務化については、慎重派と推進派に意見が分かれた。慎重派は家族経営や過疎地などの実態に基づく実効性の担保やプライバシーの懸念、制度が形骸化してしまうことなどを理由に挙げている。一方、推進派はストレスチェックを受けることは労働者の権利であることを強調。認知が広がることで、労働者と事業場、社会のそれぞれにとってメリットがあることを訴えた。プライバシーについては、現制度の健康診断を引き合いに出し、問題にならないという意見もあった。
集団分析・職場環境改善については、何をもって分析・改善とするかの定義づけや、義務化にあたっての課題の調査などをもっと詳細にすべきなどの提案が複数の構成員からなされた。義務化せずに、表彰や認証などを用いて事業場のモチベーションを高めたほうが現実的という見方もあった。
義務化推進派の中には、実際に義務化するかどうかは熟慮しつつも、法制度として変更する場合のスケジュールを具体的に示すことが必要との提案をする構成員も複数いた。
職場のメンタルヘルスには多様な要因が絡み合っており、これまでの検討会では上記の枠組みを越えた議論が必要との立場を取る発言も散見される。5回目となる今回では、散らばっている論点がまとまり、より具体的な制度改正を目指す方向に傾きつつある様子が見られた。
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